高い技術力を持ちながら、職人気質で自らの仕事や魅力を語ることは得意ではない。そのような社員たちの人柄や仕事ぶりを、もっと多くの方に知ってもらいたい──。その思いからHPを開設したのが、空調配管工事を手がける立和名冷熱だ。社員を主役に据えたHP は、取引先に同社の強みを伝えるだけでなく、社員に会社の一員としての誇りを植え付けた。立和名潤社長に、HP制作の背景と活用の手応えなどを聞いた。

──事業内容を教えてください。
立和名 冷媒配管や冷温水配管、蒸気・冷却水・エアー配管などを手がけています。大口径配管の加工にも対応し、施工図や加工図の作成、配管加工、さらに現場施工まで自社で一貫して対応できるのが強みです。安心して現場を任せられる会社として、海外展開する大企業からも仕事を受注しています。
──これまでの歴史は?
立和名 私の父である現会長が若くして配管業の会社に入り、修業後に独立したことが始まりです。高度経済成長期の勢いに乗り成長してきました。私自身は、若い頃は家業を継ぐ意思がなかったため、一度家を離れ就職したのち入社しました。
父の代では腕の立つ職人が会社を支えてくれてきた一方、個人の力に頼るところが多く、組織としての仕組みが十分とは言えませんでした。そのため、私が社長に就任するタイミングで会社の組織づくりや、次世代への承継準備も進めていきたいと考えました。
──承継を準備する理由は?
立和名 私自身が承継で苦労した経験があるからです。おかげさまで、お客さまから「現場を安心して任せられる」と評価いただくことが多いのですが、この信頼をより強固にするためにも、次世代に技術やノウハウを継承し、会社の未来へとつなげる必要があると考えています。
──今後の展望は?
立和名 若手社員が定着し成長できる会社にすることに尽きます。当社には、技術力のある職人が多数在籍しています。だからこそ、この技術力を次世代に継承するための組織づくりは、最低限必要な経営戦略です。今、現場では配管の圧力試験に必要な窒素ガス量を計算するアプリを独自に開発しており、タイムカードの打刻や日報などもスマートフォンから行えるような仕組みづくりを進めています。デジタル技術をうまく活用することで、業務負担の個人差や不公平感を減らし、業務の平準化にも取り組んでいきたいです。

──HP立ち上げの動機は?
立和名 当社の社員は人柄もよく腕が立つ人間ばかりです。一方、自分たちの技術のすごさやこだわりなどを伝えるのは苦手な職人気質のため、口下手な面があるのも事実です。だからこそ社員の技術や人柄をもっと発信したいと思っていました。社員や経営者が世代交代しても会社は続いていきます。今活躍してくれている社員たちが築き上げた、当社の色や文化を形として残したいと考えました。
──制作会社の選定方法は?
立和名 十数年来の付き合いである税理士法人SIKOUの古江浩先生から紹介いただきました。私がこの会社に入社し、役員に就任した頃から、決算報告や予算会議などを通じて古江先生の人柄に触れてきました。先生が主催する後継者塾の一期生として学ぶ中で、「数字だけでなく会社の内側まで関与する経営サポート」に絶大な信頼を寄せていました。こうした背景もあり、長年当社の数字と組織の両面を見てきてくださった古江先生の紹介なら、私たちの考えを深く理解した上でHPが制作できると思いました。
──HPのこだわりは?
立和名 社員が主役のHPにすることにこだわりました。採用ページも含め、HPでは全体に社員の顔や表情、職場の空気が伝わるものにしたいとお伝えしました。HP作成時には、シャイな職人たちの自然な姿を撮るために、カメラマンにもいろいろ工夫してもらいました。
──HP作成後の変化は?
立和名 名刺にHPの二次元コードを掲載していることもあり、取引先さまから「いいHPだね」と言っていただくことも多いですね。口頭では説明しきれない技術力や業務内容を補足する情報ツールとしても機能しています。HP制作前と比べ、元請け企業との接点や契約先も広がってきました。HPで当社の技術や施工体制を伝えることで、信頼構築を後押しする材料になっていると感じています。
──社員の反応は?
立和名 HPに職人たちの顔や仕事ぶりを載せることで、「外部から見られている」と意識するようになり、技術の研さんや資格取得を考える職人も出始めました。これまでは資格取得に積極的ではなかった社員が「国家資格に挑戦したい」と言い始めたときにはうれしかったですね。社員一人一人に、自分も会社の顔の一人であるという意識が芽生え、誇りや成長意欲を引き出すきっかけになっています。
──運用面の改善は?
立和名 アイ・モバイル社の『BESTホームページ』は、管理画面からページビュー数を確認できるので、閲覧数が下がっていると自らの動きを顧みることができます。HPは世間との接点を探る一つの参考指標になっていますね。採用ページ経由で応募をしてくれる求職者もいるし、問い合わせリンクを設置した影響か、人材会社からの問い合わせも増えました。今後は、より入社意欲の高い求職者と直接コミュニケーションが取れる採用導線へ見直していきたいと考えています。
──今後のHP活用について教えてください。
立和名 HPも経営者が持つツールの一つだと思っていますが、HPだけで仕事が決まるわけではなく、私たちの本分は、あくまでも現場で質の高い配管工事を行うことです。
ただ、どれだけ腕の立つ社員がいても、その人柄や仕事ぶりを外部に伝えなければ知ってもらうことはできません。HPは、口下手でシャイな社員たちの魅力を伝えると同時に、社員自身が会社の顔であることを意識するきっかけにもなっています。これからも、社員を知ってもらい、社員とともに会社を未来へつなぐための大切な道具としてHPを活用していきたいですね。
(取材協力・税理士法人SIKOU 本店事務所)
有限会社立和名冷熱
住所:鹿児島県鹿児島市春山町382-1
(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
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